Monthly Archives: 7月 2016

Voice

    

生まれつき歌が上手い人がいる。
楽器は弾けるようになるまで練習が必要だけれど、歌に関しては最初から上手い人がいる。
声質、リズム感、表現力、口の形
一体どの要素に長けていれば歌が上手いのか定義できない。

そんな人に時たま出会う。
音楽は面白いなと感じる瞬間のひとつ。
僕も負けないように個性を磨こう。

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Smooth

    

日本語が曖昧なのは周知の通りである。
「ノー」と言う所を遠回しに、相手を傷付けずに伝えることができる。
やはり狭い列島で培われただけに、隣人に対する配慮が重視されたのだろう。
過去にそんな日本語の便利さを痛感した出来事があった。
今日はそんな話。

僕が20歳の頃、名古屋のハードロックカフェでライヴをする事になった。
メンバーはボーカルの僕とペルー人のギタリスト、バンドマスターのギターとベース、そしてドラムの5人。

つまり日本人4人とペルー人1人の構成である。

ペルー人ギタリストであるカルロス(仮名)は凄腕で、南米仕込みのギターはカルロスサンタナのように華麗であった。
異国で培われたリズム感と泣きのギター、そのサウンドはこのバンドに不可欠であった。
しかしカルロには練習をばっくれる、遅刻を繰り返す問題があった。
結局いつも4人でスタジオに入り、たまに参加するカルロスは次第に孤立していった。

そんな中で本番は迫る一方である。
痺れを切らしたバンドマスター(以下バンマス)は僕にこう言った。

「じゅんや君、もう本番まで時間がない。そんな状況でカルロスは練習に来ないし、やる気もない。あいつの怠慢さは他の現場でも問題になってるんだ。だからカルロスを今回のメンバーから外そうと思う。どう思うかな?」

僕はカルロスと協演するのが楽しみであったが、彼にやる気がないなら致し方ない。
彼が抜けてもギターは2人もいるから問題ないとバンマスに伝えた。

するとバンマスは僕にこう言った。
「ではじゅんや君からその旨を伝えてくれないかな。僕が言うのは簡単。じゅんや君から伝えてよ。経験として、とても良いと思う」

・・・・

いや、ちょっと待ってくれ。
カルロスは歳上だし、外国人で日本語もまだ未熟である。
そんな彼にバンド解雇の通告をするのは余りに重荷である。
バンマスに僕は言った。

僕「え?彼には英語で伝えるんですか?バンドを辞めろと」
バンマス「そうだよ。彼に真意を伝えてくれ。よろしく」

これは実に困ったことであった。
僕の英語力で解雇を伝えなければならない。
仮に日本語であれば

「カルロスさん、お疲れ様です。現在企画しておりますライヴですが、セットリスト上の都合によりメンバーの構成を変えようと考えております。そこで〜」

と、こんな感じで伝えることができるだろう。
しかし僕の英語力ではどうなるかは明白だ。

そしてついに電話の時がやってきた。
電話の奥からカルロスの陽気な声が聞こえて来る。
「やあ、ジュンヤ。元気かい?」
南米の暖かい風が吹いたような気がした。
遠く地球の裏側からこの島国にやってきたドラマが僕の頭に浮かんだ。

「やぁカルロ。今日は君に話すことがあるんだ…」

ダメだ。日本語のように遠回しに言うことができない。
Noと言えない日本人。これではいつまでも伝えることができない。そして僕の口から出た言葉は…

「君とは一緒にできない」

英語ってSmooth。だけど切ない。
ここで一曲。アディオスアミーゴ。

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